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ファファラ精油物語 

鷺島広子 

第十回


 

〇フランキンセンス(学名:Boswellia carterii 科名:カンラン科 抽出部位:樹脂)
ファファラ アロマケアカテゴリ―;守られて


 乳香という和名でも知られるフランキンセンス、新約聖書ではキリスト生誕の際に東方からやってきた3人の賢者が捧げた3つのもの、黄金・乳香・没薬のひとつで「神の薬」として書かれています。

 フランキンセンスは砂漠に生えるカンラン科の木の樹脂、暮らしや儀式に使われてきた歴史はかなり古く、聖書で引用されるより遥か昔、紀元前数千年前から人類に使われてきたと伝えられています。

 オマーンやソマリアなど、古くからフランキンセンスの木が生えている地域では、フランキンセンスを採る役割を担う一族が専用のナイフを使って乳香の木に傷をつけ、そこから染み出て固まった白い色の樹脂を地面につかないように丁寧にそぎ取る形で採取されてきました。

 採られた樹脂は、主に薫香という形で用いられ、人々が集まるときには、その空間にフランキンセンスが焚かれます。お客様を歓迎するという意味と同時に、他の土地から持ち込まれる様々な病原菌や目に見えない邪を払い清める、という意味もあったようです。そして宴や集会が終わりに近づくと、そろそろお開きの合図として、またフランキンセンスが焚かれたそうです。

 良質のフランキンセンスの産地の一つ、アラビア半島に位置する国、オマーンに関係する、ある会合に参加した時のこと、会の始めにも乳香が焚かれていましたが、食事が終わり談話時間にも乳香が焚かれ、その香炉にスカーフをくぐらせて香りをつけてくれました。日本でも平安貴族が、伏籠(ふせご)の上に着物を置き、防虫や抗菌に用いたり、香を焚いて場を清めたりする風習があり、薫香は古くからの日本文化とも共通するものがあります。

 フランキンセンスはまた、美容効果が高い材料としても注目されてきました。古代エジプトの美容クリームのレシピにもフランキンセンスはしばしば登場します。実際にフランキンセンスは、特に年齢を重ねた肌のお悩み(シミ・しわ)に作用し、また美白作用もあると言われクレオパトラも愛したということもうなずけます。

 具体的にその香りの構成成分を見ていきますと、サピネン、ミルセンなどのテルペン系の成分が、抗菌・抗ウィルス作用と同時に免疫賦活、組織再生などにも役立ち、さらにコパイバ樹液やコショウ・クローブなどのスパイスにも含まれるβ-カリオフィレンには抗精神作用や血管を強くする作用があります。加えて柑橘系に多く含まれるリモネンも血行促進や抗精神性などがあり、これらをバランスよく含んでいるフランキンセンスはまさに「神の薬」として珍重される成分を含んでいると言えるかと思います。

そんなフランキンセンスの香り、他に類を見ない、透明感と奥深さを感じます。眉間のあたりから頭頂部にかけて、そして喉元から肺の奥にかけて、何かトンネルのようなものが出来る感覚。薫香でもその独特の香りを感じることはできますが、精油となると、よりストレートにその感覚を感じられます。

 ファファラのフランキンセンスは、フランキンセンスアラビア(Boswellia carterii)とフランキンセンスインド(Boswellia serrata)の2種類。アラビアの方がより洗練された香りですが、インドは、よい意味で野性味の中にすっと通る感じが印象的です。

 さまざまな成分を含んでいるので、多くの精油とも相性よくブレンドできますが、クリームや化粧水など美容作用を目的としたアイテム作りには、バラやゼラニウムなどのゲラニオールを含む精油、またラベンダーなどのリナリルアセテート(酢酸リナリル)を含む精油と合わせると相乗効果がより期待できます。また、シダーウッドやモミなどの樹木系とも相性は抜群ですが、フランキンセンスを入れることで、すっと筋を通してくれるような透明感のある香りに仕上がるかと思います。

 日照時間が一年で最も短くなり気温も下がる北半球の冬の時期、風邪予防や呼吸器系のケアのために、抗菌作用・免疫賦活作用を持つ針葉樹やフランキンセンスなどの香りのあるものを大切な人に贈るというのが、クリスマスプレゼントの始まりともいわれます。

 何かとせわしない年末、例えばフランキンセンス、ローズ、ファー(モミ)のブレンドをゆったりと感じ、深呼吸をしながら一年を振りかえる時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

 年明け1月は、クローブの予定です。よいお年をお迎えください。

以上




 




フランキンセンス・アラビアBIO野生


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鷺島広子(さぎしまひろこ)

ホリスティックアロマサロン H【a∫】(アッシュ) 主宰
葉っぱのうらがわ 代表
アロマ&ハーブセラピスト。

12年間会社員として大手メーカーに勤務。システムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンを開設。同時に様々な植物療法に関わるモノづくりを行うメーカーとの関わりが増え、2013年より植物と人との関わりをテーマにした場づくりをメインに行う“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ、暮らしに役立てるフィールドワークを行う。
サロンでは植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施、葉っぱのうらがわでは商品のコーディネートやイベント企画を行っている。東京都の国分寺市にある「暮らしを耕すマーケット」で、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。2019年11月よりファファラのカテゴリー別講座を担当。


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