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ファファラ精油物語 

鷺島広子 

第七回


 

〇レモングラス(学名:Cymbopogon citratus 科名:イネ科 抽出部位:葉)
ファファラ アロマケアカテゴリ―;リフレッシュ


 香りというものはつくづく不思議なものだと感じます。植物が匂いを発するのは、受粉のために虫を引き寄せるなど、自身の繁殖そして生き残りのためにその成分を自ら作り出しています。それを私達ヒトが、心と身体の健やかさのために役立てている、それもかなり古くから、ということを改めて考えてみると、この世界の繋がり、植物から動物への連鎖を感じずにはいられません。

加えて、ヒトは人で、その嗅覚を通して、香りを通してさまざまなイメージを膨らませることができます。すでに見えない形で存在する香りを通して、その植物のイメージ、さらには自分に必要かどうか、などを感じとる力もあるのではないでしょうか?本来は皆がもっていても、様々な情報過多の時代でその感覚を閉ざしている方も多いかなと思いますが、香りはまさに、その閉じている感覚を開かせてくれる力があるのではないかと思います。

本コラムも7回目にして何を今更という感じではありますが、その香りを嗅いだ時に、その植物の形状をイメージできる、というのも大脳新皮質が発達したヒトならではの能力と思います。例えばバラの香りを嗅いだ時に思い浮かべるのは、葉っぱではなく、花、それもかなり華やかさとゴージャスさも兼ね備えている姿かたちを想像しますし、ミント系の香りを嗅ぐと、発散系の葉の生え方を想像します。これは私たちの経験値、つまり培われた感覚から来ているのかもしれません。例えば、自分の雰囲気にあった香水を纏ったり、なりたい自分のイメージに合わせて香りを選んだりするのもこの感覚が故なのではないでしょうか?

前置きが長くなりましたが、レモングラスを香りを嗅いだ時の特有の、ギュギュっとした香り、ここからかなり強靭な繊維質を持つ植物が頭に浮かびます。ほかにもシトロネラ、ベチバー、パルマローザ、などイネ科でくくられるその香りからには、共通のこのギュッとした感じがあるように思います。その香りから感じるギュギュっと感は、ある意味いろんなことで私たちと社会、私たちと宇宙をつなぐ、縄や綱のようなイメージに繋がります。日本ではまさにイネ科の植物が、茅(チガヤ)や藁(ワラ)や真菰(マコモ)といったようなしめ縄の材料になることにもつながる気がしてなりません。

話が飛躍してしまったかもしれませんが、レモングラスの香りを嗅いだ時に来るこの“安定感”はやはりイネ科特有のものと感じます。一般的な作用としては、虫除け作用や消化促進作用、筋繊維の疲労を回復させるという作用などが挙げられます。組成成分からそれらの作用は充分にあると思うのですが、実はこの「繋がる安定感」はイネ科特有のもの、言い換えれば、上昇気流?に乗ってどこかへ行ってしまう感覚をしっかりと現実世界にとどまらせつなぎとめてくれる役割もあるのではないでしょうか。

ブレンドする時にもその作用は役立ち、例えば木や発散系の葉、同じく気持ちを上向きにする花、などと合わせると絶妙にバランスをとってくれるのがこのイネ科のハーブ。量を間違えるとすべてがその香りになってしまうほどに存在感があるので、ごく少量でその安定感を発揮してくれるかなと思います。

例えば、プチグレン、ミントとのブレンドにレモングラス。このブレンドは、疲れ切った身体を回復させる作用があると思います。もしくはファー(モミ)とネロリなどの花とごく少量のレモングラス。上に向かう意識を行き過ぎることなく、程よく地に足をつけてくれる感じにまとめてくれると思います。

成分としてシトラールを70%以上含有していながら、シトラール単体の香りを丸めるような甘さ、複雑性、広がりをもった香りのレモングラスの香り。虫除け、というイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、心をリフレッシュ、元気にしてくれる香りでもあります。夏の疲れが残っているなと感じた時にふわりと感じてみるのはいかがでしょうか? 

次回は、かなりマニアックになってしまいますが、ロックローズ…お楽しみに!
 
以上




 




レモングラスBIO・CG


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鷺島広子(さぎしまひろこ)

ホリスティックアロマサロン H【a∫】(アッシュ) 主宰
葉っぱのうらがわ 代表
アロマ&ハーブセラピスト。

12年間会社員として大手メーカーに勤務。システムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンを開設。同時に様々な植物療法に関わるモノづくりを行うメーカーとの関わりが増え、2013年より植物と人との関わりをテーマにした場づくりをメインに行う“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ、暮らしに役立てるフィールドワークを行う。
サロンでは植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施、葉っぱのうらがわでは商品のコーディネートやイベント企画を行っている。東京都の国分寺市にある「暮らしを耕すマーケット」で、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。2019年11月よりファファラのカテゴリー別講座を担当。


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