ファファラ精油物語 TOPへ
 


ファファラ精油物語 

鷺島広子 
第十三回


 

〇カモミール・ジャーマン(学名:Chamomilla recutita 科名:キク科 抽出部位:花)
ファファラ アロマケアカテゴリ―;リラックス


東京では春一番も吹いて、まさに三寒四温、一雨ごとに温かくなっていくような季節の変化を感じています。同時に今年は例年になく花粉の量が多いようで、症状に悩まされる方も少なくないようです。春風は、さまざまな花の香りや季節の便りを運んできてくれるものですが、同時に花粉や黄砂などお肌にも刺激を与える物質も運んできます。その結果、春特有の肌荒れに悩まされる方も少なくないようです。


カモミール・ジャーマンの香りの成分は、濃い青色に代表されるカマズレン、β-ファルネセン、α-ビザボロールなどの成分の多くが「抗炎症」作用を持っていて、炎症を鎮める働きを持つ植物の代表選手といってよいでしょう。この花の精油は、花粉症やアレルギー性の皮膚の症状、かゆみがある状態に大いに役立ちます。この優しくなだめてくれるような作用が特徴的で、日本では「母菊」の異名を持つのも、この“優しく包み込んでくれる母のやさしさ“をイメージしての名前かなと思います。


ひどい肌荒れに悩まされていた頃に出会ったアロマテラピー、最初にこの青い精油を使ってバームを作った時、何とも言えない深い青色と特徴のあるこっくりとした、優しい香りに、視覚的に、嗅覚的に大きな安らぎを覚えました。そして肌につけたときの何とも言えない安心感は、自分の中で暴れていた何かを優しくなだめてくれるような感覚と同時に、感じていた痒みや傷みがすっと引いていく感じがしました。しばらくの間、そのバームをお守りのように持ち歩いていたものです。


多くのキク科と同じように、カモミール・ジャーマンの花は群生して咲きます。黄色い花芯に白い花びら、花の咲き始めは黄色い花芯は平らですが、だんだんと真ん中の部分が盛り上がって球状に近い状態になります。乾燥すると白い花びらは乾燥して小さくなるため、ハーブティーとして飲まれるドライのカモミール・ジャーマンは、この花芯のイメージを持たれる方が多いかと思います。


この優しい黄色と白の花から、なぜ精油に見られるような青い色が採れるのだろうと疑問に思っていましたが、ある時、両手いっぱいくらいの量の摘みたてのフレッシュのカモミール・ジャーマンの花を大きなガラスのポットに入れ、ハーブティーにしようと熱いお湯を注いだ時、短い間でしたが、ポット全体がぱっと鮮やかな青色に包まれてびっくりしました。その後は他のフラボノイド類など水溶性の成分が抽出され、青色は消えてしまいましたが、熱と反応して出てくるこのカマズレンの青を内包しているこの花の魅力を改めて感じた瞬間です。


このようにハーブティーとして入れたものもまた、トラブルの起きた肌に優しく働くことを実感しています。濃い目に入れたカモミールティーをコットンや柔らかい布を浸し、ふくませてパックをするように皮膚にあてると、すぅっと見えない青い成分の鎮静作用を実感することでしょう。(小さなお子様などには、このような使用方法の方が適している場合もありますが、キク科のアレルギーをお持ちの場合は注意が必要です。)さらにこの感覚を知っておくと、精油を使ったときのパワフルさや違いをより感じることができるように思います。


初夏に咲き長い間次々と花開くカモミールの花の香りが、風に乗ってふわりと香ってくるとなんとも穏やかな気持ちになります。肌への鎮静作用が大きな特徴として取り上げられますが、心の鎮静にも役立つこの香りは、さまざま環境の変化に心が乱れるような状態にも、穏やかながらパワフルに働いてくれる気がします。同じ鎮静作用を持つラベンダー、ネロリ、ローズなどの精油とのブレンドもおすすめです。またシダーウッドやパチュリなど深い呼吸を促すようなベースノートを用いると、ストレスなどでささくれ立ったような心の鎮静にも役立つでしょう。前述のバームも効果的ですが、バスソルトなどにしてリラックスタイムに活用するのもおすすめです。季節の変わり目、お肌のトラブルやざわめきがちな感情にカモミール・ジャーマンの精油を取り入れてみてはいかがでしょうか?


次回は、同じカモミール、カモミール・ローマンをお届けします。どうぞお楽しみに!



 




カモミール・ジャーマン


======================================

鷺島広子(さぎしまひろこ)

ホリスティックアロマサロン H【a∫】(アッシュ) 主宰
葉っぱのうらがわ 代表
アロマ&ハーブセラピスト。

12年間会社員として大手メーカーに勤務。システムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンを開設。同時に様々な植物療法に関わるモノづくりを行うメーカーとの関わりが増え、2013年より植物と人との関わりをテーマにした場づくりをメインに行う“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ、暮らしに役立てるフィールドワークを行う。
サロンでは植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施、葉っぱのうらがわでは商品のコーディネートやイベント企画を行っている。東京都の国分寺市にある「暮らしを耕すマーケット」で、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。2019年11月よりファファラのカテゴリー別講座を担当。


営業日カレンダー

2024年4月
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
2024年5月
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31