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ファファラ精油物語 

鷺島広子 
第三十九回


 

〇イモーテル(学名:Helichrysum italicum 科名:キク科 抽出部位:全草)
ファファラアロマケアカテゴリー; リラックス



 イモーテルはヘリクリサムとも呼ばれるキク科の植物で、なんとなく日本の春の七草のひとつでもあるゴギョウ(ハハコグサ)に似ているなと思うのですが、ハハコグサの方がどことなく日本的、イモーテルはイタリアの夏の太陽が似合う気がします。
 
 植物としてのイモーテルを初めて見たのは、10年以上前のイタリアのピエモンテでの農業体験の旅の時です。青い空の下、一面のイモーテルのお花畑と、近くにそびえるポプラの木の葉が風にそよぎ、甘くスパイシーな香りに包まれていて、それがイモーテルの花の香りと知りました。イモーテルがヨーロッパではとてもメジャーでお年寄りから小さな子供まで比較的安全に使える、優しくかつパワフルな植物であることもその時に知りました。

頭痛や風邪の時に役立つということは、同じキク科のヤロウやカモミールなどと似ていますが、特徴成分としてネリルアセテート(エステル類)というネロリの精油にも含まれる甘い香りの成分が多く含まれます。ネリルアセテートは、鎮痛や筋弛緩作用、抗炎症作用、また皮膚のバリア機能を高める作用などを持っている成分で、これがイモーテル精油の作用に繋がります。

また古くから打ち身のハーブと言われていて、私自身もどこかぶつけたときにイモーテルを用いると、その後に青アザになりにくいことや打ち身が早く治るような気がしていましたが、この作用を強烈に実感したことがあります。

私事ではありますが、息子が5歳の頃に交通事故にあい、頭の打撲と皮膚損傷で救急搬送されたことがありました。仕事先から駆けつけ打撲で腫れあがった顔と身体の様子を見た時に、私はひそかに「よっしゃ」と思った記憶があります。内臓系の検査結果など他にも心配なことはありましたが、深夜に家に戻り病院へ持ってきたものの1つがイモーテルの精油でした。そしてオイルで希釈したものを外傷で包帯が巻かれている以外の打ち身のところに塗布、退院後の傷のところにもそのオイルを用いました。

 イモーテルの精油は、皮膚の下の血液やリンパ液を流す働きの他にも瘢痕形成作用が高く、そして心のショックや恐れの感情にも有効に作用します。この時にイモーテルの香りに助けられたのは息子だけでなく、私自身もかなり助けられていたことに後で気が付きました。精油が皮膚などの外用への作用と同時に心への作用を持っていることを強く感じた出来事です。

打ち身や傷に、という印象が強くなってしまったかもしれませんが、抜群の美容効果を持つことから、美容クリーム作りの講座などで良くご紹介する精油の1つです。また一緒に合わせる精油によってはイモーテルがベースノートの様に働いてくれ、全体を優しくまとめ、香りに奥深さをだしてくれます。ネロリやベルガモットなどの香りとも相性も良く、ストレス状態で肌荒れを起こしているときにもおすすめです。肌と心を優しく鎮め、元気にしてくれるでしょう。

また、含有成分の1つであるイタリディオンは炎症抑制や内出血などの流れを促す作用がありますが、この芳香成分は長く丁寧に蒸留して初めて精油成分として抽出されます。そのためこの成分が含まれているかどうかというのも、良質のイモーテルの精油かどうかの見分けるポイントのひとつになるかと思います。

光あふれ風薫る5月ですが、新生活や新しいことへのチャレンジで不安感がある時にもイモーテルは優しくそしてパワフルに寄り添ってくれることでしょう。

(ファファラのイモーテルは50%希釈の5mlと100%の1mlの2種類があります。希釈されている方が他とのブレンドとしては使いやすいですが、お好みや目的によって使い分けるとよいと思います。)

次回はアイリスの予定です。お楽しみに!





  
イモーテル1%                   イモーテル5%


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鷺島広子(さぎしまひろこ)
ハーバリスト・アロマセラピスト
ホリスティックアロマサロン H【a∫】(アッシュ) 主宰
葉っぱのうらがわ 代表

12年間の会社員として大手メーカーにてシステムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンH【a∫】(アッシュ)を開設。いにしえからの植物と人との関わりが手仕事、モノづくりや商品として繋がっていく場づくりとして2013年“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。
アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ暮らしに役立てるフィールドワークを行う。植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施。書籍「ケルトの植物」読書会を2015年より実施し開催回数100回を超える。植物の恵みを活かす商品コーディネートやイベント企画を行い、東京都国分寺市のカフェスロー内にある「暮らしを耕すマーケット」では、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。



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