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 ファファラ精油物語 
鷺島広子
第45回 「バルサムモミ」
 


 

〇バルサムモミ(学名:Abies balsamea 科名:マツ科 抽出部位:針葉)
ファファラ アロマケアカテゴリー:ウェルビーイング




バルサムモミは大変古くから存在するモミの木の種類で、北米やカナダに多く、現代でのクリスマスツリーの木としても広く利用されています。高い木を立てて邪を払う、という習慣はケルト(古代ヨーロッパ)の時代から行われていて、陰が極まる冬至の季節に行っていた習慣が、のちにキリスト教での儀式としてのクリスマスに取りいれられたと言われています。

邪を払う、というのは、文字通り悪霊除けの意味もありますが、病気を払う、という意味でも用いられてきました。これには、植物の成分が持つ、抗ウィルス作用、抗菌作用による伝染病の予防や治療としての意味が含まれています。ウィルスや細菌が病の原因と知られる前は、病も悪魔の一種と捉えられていました。芳香成分(精油)にもその作用があることを、いにしえの人たちは様々な経験から学んでいたのではないでしょうか。

実際に、モミの木などの針葉樹の葉や樹脂は、古くからリュウマチなどの血管系の疾患や傷を治す薬として、また肺や気管といった呼吸器系の疾患にも有用として使われてきた歴史があります。

モミの木の香りは季節が冬へ向かい気温が下がって空気が澄んでくる時期にいっそう際立ってくる気がします。少し喉がいがらっぽい時や鼻が詰まり気味の時、また緊張や忙しさから呼吸が浅くなった時に、ふと立ち止まって深呼吸させてくれる香りです。しばらくして気が付けば喉の違和感が消えてきえていたり、鼻がとおっていたりします。

バルサムモミの香りはたくさんの種類のモミの中でも、その渋さと温かみが際立ちます。モミ特有の清々しい香りの奥にしずかに佇むような温かみ、香りの中でその温かみに触れた時、心にぽっと小さな灯がともるような感覚を抱きます。

そしてやはり、大きな木の存在感。針葉樹は樹高が高くなる分、どっしりと根を張り、天に向かってまっすぐ伸びていきます。地に足つかず、心ここにあらずでふわっとしている状態、緊張や忙しさから、頭の中がグルグルしている状態、そんな時に上がっている気を下げてくれ、すっと一本軸を通してくれる作用がある様に思います。

忙殺されて自分の感情がなくなってしまったように感じた時、自然と触れ合いたいのになかなか時間がとれないとき、バルサムモミ、オレンジ・スイート、マジョラムのブレンドはいかがでしょうか?心も体も温めてくれるので、バスソルトやバスミルクにもおすすめです。

また昼間、地に足つけて集中して作業したいときなどは、バルサムモミ、ローズマリー、レモンなどのフレッシュなブレンドもおススメです。香り成分が、ドライになりすぎず程よい温かみのある空間を作り、加えて感染症予防の作用もあるので、人が集まっての話す空間にもおすすめです。

11月に入り年の瀬に向けて何かとせわしない日々にバルサムモミの香りを活用してみてはいかがでしょうか?

次回はシベリアモミの予定です。お楽しみに。





  
ファファラ バルサムモミBIO野生         



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鷺島広子(さぎしまひろこ)
ハーバリスト・アロマセラピスト
ホリスティックアロマサロン H【a∫】(アッシュ) 主宰
葉っぱのうらがわ 代表

12年間の会社員として大手メーカーにてシステムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンH【a∫】(アッシュ)を開設。いにしえからの植物と人との関わりが手仕事、モノづくりや商品として繋がっていく場づくりとして2013年“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。
アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ暮らしに役立てるフィールドワークを行う。植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施。書籍「ケルトの植物」読書会を2015年より実施し開催回数100回を超える。植物の恵みを活かす商品コーディネートやイベント企画を行い、東京都国分寺市のカフェスロー内にある「暮らしを耕すマーケット」では、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。


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